オストフィルダン, 2025/05/20

水素:安全なエネルギー担体か、爆発への挑戦か?

戦略・協業部長、Armin Glaser

(実際と異なる場合あり)

水素は未来のエネルギー担体として注目されています。その潜在的なアプリケーションは多岐にわたり、産業界では製鋼、化学、ガラス工業のほか、モビリティにおける燃料電池車の燃料として、また電気の再変換にも使用されます。エネルギー担体としての水素ガスのマイナス面には、無色無臭で、しかも高可燃性であることが挙げられます。そのため生産と取り扱いには適切な安全対策や安全監視システムが必要です。ますます明らかになる事実として、新技術が社会に受け入れられるかどうかは、それに伴う危険の中身と、起こり得るエラーへの対処の仕方にかかっています。産業界における40年以上もの機能安全の歴史の中で得た経験は、これらの新しいアプリケーション分野にも、きわめて有効に活用できます。

ピルツのオートメーションソリューションは、電解装置によるH2の生産から貯蔵、輸送、そして燃料電池や工業用バーナーでの使用まで、水素の付加価値連鎖全体における安全かつ経済的な水素の利用を可能にします。

安全で効率的な貯蔵と輸送
水素は輸送時には高度に圧縮され、特殊な高圧タンクで鉄道、水路または道路を通って運ばれます。水素の充填時や放出時、あるいは温度の変動によっても生じる急速な圧力変化は、度重なれば複合材料製の容器にストレスを与えるおそれがあります。これは材料の剥離(材料の層と層とが分離する)や圧力容器の寿命の短縮、漏れなどにつながり、最悪のケースでは爆発の原因にもなりかねません。水素タンクを保護し、何よりもノズル部付近にいる人々を守るために、タンクへの水素の充填・放出の際には特別な安全対策が求められます。 

ピルツの実績ある安全コントロールシステムは、そうした移し替えのプロセスをフェイルセーフのアナログ値処理によって高い信頼性でモニタリングし、エラーが発生した場合には充填・放出プロセスを停止します。ドイツ、ブレーマーハーフェンのGP JOULE社はピルツの安全ソリューションを活用しています。このエネルギー企業は、風力発電で得た余剰電力をCO2ニュートラルな水素に変換して特殊な大型トレーラー上のタンクに貯蔵し、高可燃性ガスである水素を市内の水素補給ステーションへ配送しています。そこでは、たとえばバス会社のBremerhaven Busなどが所有する車両にグリーンエネルギーが供給されます。圧力容器の充填および放出も、すべてのノズル部でシンプルかつスピーディに、そして安全を最優先に行われます。 

「安全関連精度」:測定値の精度は1パーセント以内
H2の補給や貯蔵に不可欠なプロセス値は安全アナログセンサによって記録され、安全コントローラに読み込まれます。0~1,000バールの範囲の圧力を監視する際、安全監視チェーン全体が機能するためにきわめて重要なのが安全関連精度です。チューブトレーラーを用いた補給のリスクアセスメントによると、1%(この場合は10バール)の精度があれば安全要件は満たせます。

実地ではたいていアナログ値分解能の仕様のみで十分だと考えられています。しかし、たとえデータシート上で値が許容範囲内であっても、その値をそのまま安全設計に使えるわけではありません。さらに詳しくご説明しましょう!

プロセス値を記録した後は、それらが絶対(静的)限界値に適合しているか監視するだけでなく、値の動的変化を察知し、必要に応じて変化を制限することが大切です。それにはより複雑な、たとえば安全勾配監視などの安全監視機能が必要になります。安全コントローラは「安全ランプ監視」ソフトウェアブロックを使用して、圧力や温度の変化に伴う重要な上下値に関するパラメータが許容範囲内であるか – つまり水素の充填・放出スピードが適切であるかを監視します。上昇値が基準を超えたり下回ったりした場合には、安全コントローラが必要な措置をトリガします。たとえばレギュレータまたはコンプレッサのスロットルを調整する、バルブを完全に閉じるなどです。

安全とセキュリティへの総合的アプローチ
オートメーションソリューションは、水素業界における従来の、より機械的に決定されたコンポーネントの安全特性を有効に補完することができます。なぜなら、機能安全においては常にライフサイクル全体にわたるプロセスの安全な反応が考慮されるからです。OTセキュリティとは設備や機械の不正操作や誤使用を防ぎ、可用性を確保することです。特に重視されるのは設備データの保護であり、プロセスへのアクセスをどの人物に許可するかです。重要なインフラ設備を考えるとき、絶対にそうした機能は欠かせません。

ピルツは、水素産業の安全とセキュリティに対する早期の総合的なアプローチだけが、包括的な保護を保証できると信じています。工業界に蓄積された長年の経験は、進化する水素産業に必ず利益をもたらすでしょう。

 

 

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